院長コラム 

だいとうレディースクリニック

更年期障害と女性ホルモン補充療法(HRT)
 女性は平均50歳で閉経をむかえます。卵巣にある卵の数は生まれる前に決まっていて、年齢とともに減少します。数百万あった卵子が閉経頃には数千個にまで減少し、体の中の女性ホルモンが急に低下するため、いろいろな症状が出てきます。
 
 生理不順に続き、冷えのぼせ、動悸、汗、手足の冷え、しびれなど、いわゆる更年期障害が出てきます。更年期障害とはホルモン低下による自律神経失調症です。これらの症状は女性ホルモンを補充することで、すぐ良くなります。
 
 更年期障害のあと、不眠、気分の落ち込み、めまい、吐き気、疲れやすいなどの神経症状がでますが、これらの症状は良くなるのに時間がかかります。ホルモン剤と安定剤、漢方薬を併用しています。
 
 その後、徐々に、おりもの、おしっこが近い、尿漏れ、性交痛、皮膚の乾燥などの症状がでてきます。また、骨の吸収が盛んになり骨量が減少、腰痛をおこしたり、骨折しやすくなります(骨粗鬆症)。ホルモン補充療法はこれらの症状を改善し、骨の量を増加させます。
 
 ホルモン補充療法で注意することとしては子宮体がん、乳がん、血栓症があります。女性ホルモンには2種類(エストロゲン、プロゲステロン)ありますが1種類だけ(ERT、エストロゲンのみ)では子宮体がんになりやすくなります。2種類だと逆に子宮体がんになりにくくなります。乳がんがある方にはがんを大きくする可能性がありますのでHRTは行われません。タバコを吸われる方や安静、臥床が必要な方(手術など)は血栓症のリスクが高いためHRTは不適当です。

 ホルモン補充療法は乳がん検診、婦人科検診、血液検査などを適宜おこない、うまくメリットを生かしていけば、老化に対抗する、すばらしい方法であることは間違いありません。
 

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