院長コラム 

汗の異常
 汗の異常には汗が少ない場合(無汗)と多い場合(多汗、盗汗)があります。漢方では、汗が多い場合、お肌の水毒を取り去るオウギの入った薬がよく用いられます。

ボウイオウギ湯
 やや体力の無い、やや太り気味の方で体がだるく、汗が多い場合。
 下半身のむくみ、関節の腫痛、皮膚病にも効果あり。

オウギ建中湯
 やや体力の無い方で、体がだるく、寝汗(盗汗)、皮膚症状がある場合。
 腹痛、食欲不振などがある場合あるいは皮膚病が治り難い場合などに効果あり。

性器脱、膀胱瘤てなに?
 子宮、膀胱および直腸が膣から出てくる状態を性器脱といいます(子宮脱、膀胱瘤、直腸瘤)。
 原因としては加齢、体質、分娩、閉経などが関連しています。治療としては薬、体操、ペッサリーなどもありますが手術が主になります。

 最近、性器脱の考え方が変わり、場所に応じた手術方法が選択されるようになっています。特に膀胱瘤は再発しやすいため、その診断、手術は慎重に行われる必要があります。傷んでいる場所を正確に診断し、手術ではその傷んだ場所をしっかり補修するか、または人工的な網を用いて補修します。
 昨年より、非常にやわらかくて感染に強く、手術に適した網(ガイネメッシュ)が使用可能になっています。
 自分に合った治療を選択してください。

 写真は右側の側方損傷による膀胱瘤のMRI画像です。手術では右の損傷を補修する必要があります。

尿失禁
 尿失禁の種類には3種類あります。

 1番目:切迫性尿失禁

 おしっこがしたくなるとトイレまで我慢できない状態です。膀胱の動きすぎ(過活動膀胱)、膀胱、尿道のイライラ感(不安定膀胱)、膀胱の感じすぎ(膀胱炎など)が原因です。膀胱炎があれば抗生剤で治療します。過活動膀胱には抗コリン剤(バップフォー、ベシケア、デトルシトール)、尿道のイライラにはエブランチルを用いています。

 2番目:腹圧性尿失禁

 咳、くしゃみ、運動、重いものを持ったときにもれる状態です。膀胱と尿道のアンバランスが原因です。骨盤の筋肉をきたえる体操(骨盤底筋体操)が有効です。ウロマスター干渉低周波治療器もあります。薬としては喘息にも効果のあるスピロペントを用います。漢方では葛根湯に含まれるマオウがよく効きます。体操、薬で効果が無い場合は尿道をテープで吊り上げる手術(TVT)が行われます。

 3番目:溢流性尿失禁(いつりゅうせい)

 頻尿、残尿、尿が出にくいなどの症状があります。原因としては尿道の狭窄、膀胱の機能低下、がんの手術などが考えられます。治療としては薬も使用しますが導尿などの処置を要する事が多く、泌尿器科専門医に相談する必要があります。