院長コラム 

にきび(面疱)
ピルを服用するとにきびが改善する方が多いのですが、中には悪化する方がいます。ピルの種類を変えたり、黄体ホルモンの種類を変えたりして対応しています。
 最近 どうにも対応できない難治性にきびの方に漢方を用いています。

にきびに用いる漢方

 桃核承気湯
 清上防風湯
 桂枝茯苓丸
 温清飲
 荊芥連翹湯
 加味逍遙散
 当帰芍薬散

上段から体力のある方(実証)から少ない方(虚証)用に並べてみました。
便秘の改善は必須で、はと麦茶も良さそうです。

更年期障害の治療 漢方
 更年期障害とはホルモン低下による自律神経失調症です。女性ホルモンを用いて生理不順を解消すると症状は治まります。すでに閉経の状態になっている方にはホルモン補充療法をおこないます。
 ホルモン療法が不適当な方には漢方療法がおすすめです。

 更年期障害によく用いられる漢方薬としては、
桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)
 体力の充実した、便秘、不眠、興奮など精神神経症状のある方に

桂枝ブク苓丸(ケイシブクリョウガン)
精神症状が少なく便秘も軽度の方に

当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)
体力がなく冷え性で貧血気味の方に

加味逍遥散(カミショウヨウサン)
あまり体力のない方で疲れやすく精神神経症状のある方に

温経湯(ウンケイトウ)
生理不順、手足のほてり、唇の乾燥がある方に

温清飲(ウンセイイン)
月経量が多くて、のぼせ、不安、不眠などがある方に

 
モーニングアフターピル、緊急避妊法
 モーニングアフターピル(morning-after pill)とは性交後ピルとも言われ緊急的な避妊の方法です。他の避妊法の失敗などの後に用いられる避妊法です。
 緊急避妊薬としてノルレボ錠が認可されました。以前の中用量ピルを応用した方法に比べ吐き気などの副作用が少なく、避妊効果も高い(約80%)とされています。72時間以内に2錠1回服用します。通常の避妊用ピルに比べ非常に高価です。

 緊急避妊法で最も確実な方法は銅付加IUD(避妊リング)です。
性交後5日以内に装着すると卵の着床をおさえ避妊効果を発揮します。その後の避妊効果も5年持続しますので、1年以上の避妊を希望される方には有効で安価な方法といえます。

月経困難症
 生理痛がひどく、日常生活に支障をきたす状態を月経困難症といいます。

 原因としては子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症などの病気による場合(器質性)と特に原因の無い機能性といわれる場合があります。

 原因がある場合(器質性)は徐々に症状がひどくなります。薬で効果が不十分であれば手術も考える必要があります。

 原因のない場合(機能性)は薬による治療になります。

 薬としては痛みの原因(プロスタグランディン)を抑える鎮痛剤、ピル、漢方薬、子宮収縮を抑える薬などがあります。
鎮痛剤もいろいろ種類があります。通常の鎮痛剤は短時間しか効果が持続せず痛みを感じてしまいます。長時間効果のあるピロキシカム、メロキシカムが有効です(あたらしい鎮痛剤の適応症には直接、生理痛とは記載されていません:腰痛症などの病名が多くなっていますが効果はあります)。1日1回1錠で効果は24時間持続します。通常2日から4日程度服用します。即効性はありませんので痛いときには通常の鎮痛剤を追加で服用します。

妊娠を希望されない方にはピルがお勧めです。ピルを服用すれば月経量が少なくなり痛みも少なくなります。また月経の日も調節できます。低用量ピル、超低用量ピルが保険で利用できます。

夏やせ、夏ばての漢方薬
清暑益気湯(セイショエッキトウ)

 比較的体力の無いのかたで、食欲がなく、からだがだるい場合によく効く漢方薬です。とくに腸の調子が悪く、下痢ぎみの方に効果的です。

補中益気湯(ホチュウエッキトウ)

 下痢、軟便がない方によく用いられます。漢方の王様(医王湯)といわれています。