院長コラム 

生理を遅らせたい
月経を移動させる方法

月経を遅らせる方法
 月経を遅らせるには、予定月経5日前より中用量ピルを飲み始め、希望する日まで服用します。希望日以前に出血があれば2錠服用することによって止血させます。月経周期が安定しない方は少し早めにピルを飲み始める必要があります。

月経を早める方法
 月経を早めるには、排卵日以前に中用量ピルを飲み始める必要があります。排卵日より後の時期であれば、月経を早めるより遅らせるほうが確実です。具体的には月経7日目以前にピルを飲み始め、希望する日の2日前まで服用します。服用期間は1週間以上は必要です。

中用量ピルは吐き気、全身倦怠感、頭痛などが起こりやすく服用できない方もあります。低用量ピルを応用することもできますので、ご相談ください。
 
不妊症と不育症
 1年間妊娠しないと不妊症といい、妊娠はするけれど流産などで子供ができない場合を不育症といいます。

 不妊症の原因としては女性側の原因と男性側の原因がほぼ同じ割合です。特に最近はいろいろな治療法があり、女性の不妊症はほとんどが治療可能になっています。一般的な不妊検査、治療や腹腔鏡手術なども保険の対象で、かなりの部分は保険診療で行われます。しかし、体外受精や顕微授精は保険適応にはなっていません。補助も少しは出るようになりましたがまだまだ少額です。

 不育症の原因には子宮奇形、筋腫や頚管無力症などの子宮の異常、黄体機能不全などのホルモン異常、膠原病、抗リン脂質抗体陽性症候群などの免疫異常、血液の異常、染色体の異常などがあります。まずは原因検索を行い、それに応じた治療法が選択されます。子宮奇形や子宮筋腫の場合、手術で比較的簡単に治療できることもあります。原因不明の場合、免疫療法も試みられていますがまだ一般的にはなっていません。抗リン脂質抗体陽性症候群の場合はヘパリンなどを用いた抗凝固療法が行われています。
習慣流産1  中隔子宮と双角子宮
 習慣流産、不育症の原因の1つとして子宮の奇形があります。
 代表的なものは中隔子宮と双角子宮です。

 子宮は左右のくだ(ミューラー管)が合わさり作られます。双角子宮はミューラー管の癒合不全が原因で、中隔子宮は子宮中隔の遺残によるものです。よく似ていますが、まったく違った状態です。

 中隔子宮(写真)のほうが流早産の原因になります。治療法としては手術になりますが、最近は子宮鏡を用いて比較的簡単に形成できます。

 双角子宮は流産はしにくいですが早産や赤ちゃんの発育が悪くなったり(胎児発育遅延)、難産になったりする場合がありますので、妊娠中に注意して対応する必要があります。場合によっては子宮形成術を行います。
 
習慣流産2 黄体機能不全
 習慣流産の原因としてホルモンや代謝の異常があります。甲状腺機能の異常、糖尿病、その他いろいろ考えられますが、その中でも、黄体機能不全(卵が排卵した後、黄体になる。その黄体の働きが良くないこと。)は習慣流産や不妊症の原因として最も頻度の高い異常です。

 黄体機能は基礎体温である程度、分かります。高温期が短い(10日以内)場合や低温期との差が少ない場合はホルモン検査と超音波検査を行います。黄体ホルモンは高温期には上昇し、12ng/ml以上になります。10ng/ml以下の場合、子宮内膜が薄い場合などは機能不全と診断されます。病理組織検査を行い、子宮内膜の日付け診断を追加する場合もあります。

 治療としては黄体機能を刺激する方法、黄体ホルモンを補充する方法、排卵を刺激する方法が行われています。

基礎体温(BBT)
 基礎体温(Basal Body Temperature:BBT)は朝起きて、婦人体温計を舌の下に入れ、起き上がる前に測定します。卵巣では、卵が出る(排卵)と黄体ができ、黄体ホルモンがつくられます。黄体ホルモンは脳(体温中枢)に働いて、体温が上昇します。つまり、基礎体温を測定すると、排卵しているかどうか、排卵後の卵巣の働き(黄体機能)が良いかどうか、さらに、妊娠しているかどうかが分かります。
 最近体調が悪い、特に生理不順がある方はいちど基礎体温をチェックしてみてください。